神奈川県内科医学会 会長
宮川政昭

「第32回日本臨床内科医学会」は、2018年9月16日(日)~17日(月・祝日)に横浜みなとみらいにあるパシィフィコ横浜にて開催します。

今回のメインテーマは「医識改革」です。識とは、仏教用語で外界の対象を識別し,認識する心の作用を示します。不確定要素がさまざまに存在する医療における、意識・学識・眼識・見識・常識・知識・認識・良識など、様々な角度から見直していく必要があるかもしれません。もしかしたら当たり前だと思っていたことや思い込んでいたことが、錯覚だったかもしれません。ポスターには、錯覚の要素も取り入れました。さらに題字は、鎌倉円覚寺横田南嶺管長にお願いしました。

先人たちの努力によって、さまざまな病が克服されてきました。しかしながら超高齢社会となり、従来のいわば「エビデンス至上主義」のみの診療展開では、スムーズな診療が困難となってきました。「Value-Based Medicine」として、患者の多様性を認識し理解した上でその個性に配慮した実地診療を実施し、患者の臨床的背景や価値に基づく社会的制約に配慮することも併せて求められるようになりました。科学的な根拠としての医学的必然性のみでなく、医師とメディカルスタッフの実地診療におけるさまざまな実体験と知識を集約した「医療学」として取り組むことが重要と考えます。

サブテーマとして『臨床医の創医工夫』、『今さら聞けない 基本の「き」』、『知って得する 知らなきゃ損する 最新トピックス』、『実地医家が創る 智慧の和』、『治療同盟を目指す医療学』、を軸にして、会場は5会場として、よりコンパクトにあまり内容が重複しないように、そして先生方が動きやすいように配慮してみました。すべての会場がスクール形式となっており、机の上に筆記用具をおいてゆったりと勉強できるようにしました。「触ってみよう 診てみよう 」ハンズオンセミナー として、自らのスキルアップを図れるように実践も考えました。

医師の個々の実力が信を問われる時代に、物事を批評したり論評したりするだけではなく、地域に情報を発信し、地域とともに生きていることが望まれるのではなかろうかと思います。そのためにも自らの専門性に磨きをかけ、広い見地を持った診療を展開し、直接かかわる様々な臨床試験や調査を通して、世の中にその考えや行動の信を問うべきと考えております。さらに、診診・病診・病病・医患・患患とあらゆる形態の医療連携のネットワークを駆使し、医療人として開業医も勤務医も、在宅医療も視野に入れ、手を取り合って地域医療を全うするという目標の元に結束して活動していかなければならないと考えております。

わたしたちの日常において、病から始まる「医」味不明な不安と不満を解消して、医療者と「医」気投合して、治療「医」欲が向上する「医」心伝心の実地診療が展開できればと思います。健康寿命延伸のために患者さんの健康設計をする日常診療において、実地臨床の創「医」工夫に基づき、理性を越えた感情にさえも配慮した「医療学」に基づいた患者との治療同盟を考えていきたいと願っています。

参加される皆様にとって、神奈川で多くの人との出会いに恵まれ、自らの進歩を自覚するという充足感の中で、皆様自身にとっても、医の原点回帰を創造できた会であったと思っていただける日本臨床内科医学会として、皆様を心からお待ち申し上げております。